cross road

誰もが胸の奥に秘めた迷いの中で 手にしたぬくもりをそれぞれに抱きしめて新たなる道を行く

2人

偶然2人で飲みに行くことになった日。

私は何も意識していなくて、奥さんのどこが好き?とか普通に聞いてたら、「まあまた後で」とはぐらかされたりしていた。


久しぶりにじっくり話すその人は過去と少し印象が違って落ち着いていて、穏やかで優しかった。まあ年齢と、家庭を持ったことの変化なんだろうけど。あの頃まるで学生のように毎日はしゃいでいた私たちもお互い人の親になっていた。


あと、当時気づかなかったいろんな共通点を発見して会話がすごく楽しかった。


日本史が好きとか、音楽の趣味とか。


私はちょっとマイナーなのが好きで、一般的な流行り物は少し苦手。

でも友達とカラオケいくとみんな知らないから気を使って全然歌わないんだけど。


彼は当時のちゃらいイメージで勝手にEXI○Eとか好きなのかと思ってたけど、この日そういえば初めて一緒にカラオケ行ったら私の好きなドンピシャのをしかも超かっこよく歌いだして「え!そんな趣味だったの!?」っていう驚きが。


全然しらなかったー。。

彼がアプローチしてくれてた当時、私が好きだった人とは好きな音楽トークで盛り上がって仲良くなりイベント一緒に行ったりして付き合うことになったけど、こっちにもその可能性があったのかなーなんて。当時もし飲みのあとカラオケに一度でも行ってればちょっと違ったかも。


その日、まあ歌声がかっこいい&音楽の趣味が合うことでちょっと心持ってかれ。


その後、たまたま2人ともハマってたアプリゲームやりながらぶらぶら歩いて。

どんな話しても盛り上がるし楽しいしで。

こんな楽しい会話久しぶりだなーって。


地元が同じ地方なのも、楽しかった。


なんか気付いたら来た時よりちょっと意識してしまってた。


酔っ払って、ケータイの充電がなくなって騒いでたら「買ってあげるよ」と。


で、「おれ好きな子にじゃないと充電器買ってあげないからね」と。


なんだその冗談は、とツッコミ笑いながらもちょっと意識したり。


あとは「昔2人で飲みに行ってた時、いっつも「年上最高ー!」って言ってたよね。あー俺眼中なしかって凹んでたんだよ」とか言われたり。


そんなこと言ってたのか、まったく覚えてない…失礼だな自分。笑

でもそんなふうに思ってたんだ、となんか少し嬉しく思ってしまったり。そういえば別の友達からもそんな話を聞いたっけ。


ちなみに彼とは干支、星座、血液型ぜんぶ一緒。何度も2人で飲みに行ってたのに知らないことばかりだなぁ。当時の私は別の人に夢中で彼のことをちゃんと見てなかった。


その日はそのまま何もなく帰った。当然だけど、手も触れず。


だけどこの日以来、いろんな発見があったこと、楽しかった時間、そして知り合った当時の昔のこと…ぐるぐる考えて思い出しちゃって、過去のもしもを考えて、いやでもこれ最低だな自分、てなって。


これ好きになってるの?いやなってないでしょ、よく分からんもん。でも毎日あの日のこと、あの人のことを思い出してしまう。

完全に「気になる人」にはなってた。


好きかわからないけど、こんなに他の人のことばかり考えてる自分きもい、最低、と、自分自身が気持ち悪くなりオエーッと文字通り吐き気がしてきて、食欲もなくなり、夏バテ状態になってました。


しかも、独身時代の「気になる人」と違って連絡したくても絶対できないしね。連絡しちゃダメな人のことをずっと考えてて、何がしたいの自分?って。気になる、でも連絡できない、それも辛くて忘れられたらいいのにとずっと思ってた。

偶然のきっかけ

3人で約束した日の前日、

私は夕方、明日がほぼダメそうな都合が

突然できてしまった。


やっと合わせた日だったのに…

日程変更を繰り返してやっと決まった日だけに

がくっと肩を落としながら、

だめになったって連絡を入れようと思ったその時、

あの彼から3人のグループに連絡が入った。


「本当ごめん!明日が無理そうな状況になりました…今日だったら行けたんだけど…」


びっくりした。

普段なら、私は事前調整した日じゃないと絶対に行けないんだけど、なんとその当日だけは私は奇跡的に行ける状況だった。


明日自分が無理なのがすごく残念な気持ちだったから、思わず


「私は今日おっけーだよ!」


と返信した。

もう一人は、急な流れに


「厳しいかも…でもなんとか頑張って合流できるように努力する!」


という感じだった。


そして、この1時間後に私は彼と駅で待ち合わせた。


このとき私はまだ何も考えていなくて、もう一人が早く仕事終わって合流できればいいなと期待しながらとりあえず集合した感じだった。

再会

あるとき、仕事中に同じ部署の同僚に会ったときに「久しぶりに飲みにいこー!あいつも会いたがってたし」と誘われた。


あいつとはもう一人の同僚。

その人とは、最後に会ったのが10年近く前。みんな独身で本当に若かりし頃。

知り合ってすぐの頃、よく飲みに誘ってくれて2人で何度か飲みに行ってた。


でも、当時私は好きな人がいたし、ただの友達として飲んでる感じで、そこから職場が別れて特に会う機会もなく10年近くの時が経ってた。

「おー懐かしいね!いこいこー」と3人で飲みに行った。


私は一番に着いて待ってて、次に現れたのはその人だった。記憶は当時で止まってたので、わー懐かしいーと。でも別に何も思わず。遅れてきたもう一人の同僚と仕事の話で盛り上がったりしてその会は終わった。


そういえば数年前に、飲み会で酔っ払ったその同僚が、「そーいや○○のこと覚えてる?あいつ、○○ちゃん(私)のこと昔好きだったらしいよー。あ、これ言ってよかったのかな〜」と言ってきた。

「え、そーだったんだ」って感じでその場でも何も思わず。


そして久しぶりに会って3人で飲んだ時も特に何も思わず。ただの同僚だし。

でも当時に返ったみたいでその3人が楽しかったのでそこからまた行こうねって話になった。


冬に開催されたこの飲み会後、次回はずるずる延びて、やっと決まった日程はもう初夏だった。